天皇陛下は8月8日のお言葉の中で、このようにおっしゃっている。
「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは
控えながら…」と。
これは何を意味するか。
憲法の制約で、公開の場では具体的な制度論には
言及できないものの、陛下は
「天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか」
について、ご自身で「具体的」な制度改正のプランも既に
お持ちなのに違いない。
そうでなければ、このような言い方はなさらないはずだ。
「譲位」という選択肢を認めると“パンドラの箱”を開けることになる、
大騒ぎする人たちがいる(森暢平氏、八木秀次氏ら)。
それが、
「予期できない災いや困難の根源」(明鏡国語辞典)という意味なら、
全く当たらない。
というより陛下に非礼。
陛下はご自身が勝手に位を退ければよく、後は野となれ山となれと、
無責任にお考えだ見ていなければ、そんな不穏当な表現は
出てこないからだ。
陛下は譲位を制度的、継続的に可能にすることが、
国の為にも、国民の為にも、皇族方の為にも、必ずよい結果を
もたらすと見通され、自信を持っておられる。
その為の制度自体についてのお考えもおありと考えるのが普通だ。
政府はまず、内々にそれを伺うのが順序だろう。
その上で、それを極力尊重した典範改正案を入念に練るべきだ。
陛下が譲位のご意向を明らかにされ、圧倒的多数の国民が
それを受け入れるべしとした。
もはや、改めて無駄な「論議」に時間を費やす必要はない。
そんなことをやるに相応しいテーマでもない。
ただ粛々と、陛下のご念願が十分かつ速やかに達せられるよう、
政府の総力を傾注すべきだ。