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高森明勅
2016.9.7 01:00

政府は先ず天皇陛下のご内意を伺え

天皇陛下は8月8日のお言葉の中で、このようにおっしゃっている。

「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは
控えながら…」と。

これは何を意味するか。

憲法の制約で、公開の場では具体的な制度論には
言及できないものの、陛下は
天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか」
について、ご自身で「具体的」な制度改正のプランも既に
お持ちなのに違いない。

そうでなければ、このような言い方はなさらないはずだ。

「譲位」という選択肢を認めると“パンドラの箱”を開けることになる、
大騒ぎする人たちがいる(森暢平氏、八木秀次氏ら)。

それが、
予期できない災いや困難の根源」(明鏡国語辞典)という意味なら、
全く当たらない。
というより陛下に非礼。
陛下はご自身が勝手に位を退ければよく、後は野となれ山となれと、
無責任にお考えだ見ていなければ、
そんな不穏当な表現は
出てこないからだ。
陛下は譲位を制度的、
継続的に可能にすることが、
国の為にも、国民の為にも、
皇族方の為にも、必ずよい結果を
もたらすと見通され、
自信を持っておられる。

その為の制度自体についてのお考えもおありと考えるのが普通だ。
政府はまず、内々にそれを伺うのが順序だろう。

その上で、それを極力尊重した典範改正案を入念に練るべきだ。
陛下が譲位のご意向を明らかにされ、圧倒的多数の国民が
それを受け入れるべしとした。

もはや、改めて無駄な「論議」に時間を費やす必要はない。
そんなことをやるに相応しいテーマでもない。
ただ粛々と、
陛下のご念願が十分かつ速やかに達せられるよう、
政府の総力を傾注すべきだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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